表題番号:2008B-191 日付:2009/02/15
研究課題生物膜電極を用いた新規の嫌気性酸化処理法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 榊原 豊
研究成果概要
閉鎖性水域の富栄養化問題は世界的に顕在化、慢性化しつつあり、上水障害や水域生態系の破壊等を招いている。本研究は富栄養化問題の原因物質である排水中のアンモニア成分を少ないエネルギーで脱窒処理する新しい処理法の開発を目的とし、電極上に生物膜を形成させた生物膜電極を用い、嫌気性条件下でアンモニアを窒素ガスに変換する新しい処理プロセスの性能について実験的検討を行った。なお、前年度の研究結果を踏まえ、炭素繊維を負極に用いた処理装置を新たに作製して処理性能の向上を図り、また正極槽は硝化反応の進行を抑えるためにフェロシアン化物を供給した。さらに、装置は微生物の添加系と非添加系の2槽を並行して連続運転し、処理性能の比較検討を行った。
 その結果、微生物添加系は非添加系に比べて多くの電流が発生し、微量ではあるが窒素ガスが生成されることがわかった。消費アンモニア量と生成窒素量のモル比は2.9:1、消費アンモニア量と生成電子量の比は1:4.9、ファロシアン化物の酸化量と生成電子量の比は1:0.98程度の値であった。したがって、従来とは異なる創エネルギー型の脱窒処理プロセスの可能性が示唆されたが、生成電流および脱窒量は十分に大きいとは言えず、微生物の集積法等に関する検討が今後必要であると考えられた。装置内の電極面積を向上させた実験では当初予想したような電流値の上昇あるいは脱窒量の向上はみられなかった。また、生成電流および脱窒量は十分に大きいとは言えず、微生物の集積法等に関する検討が今後更に必要である。