表題番号:2008B-186 日付:2011/02/27
研究課題構造と活性相関に基づく新規ペプチド合成酵素の創製とポリペプチド生産への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 木野 邦器
研究成果概要
我々は、ペプチドの効率的な生産法確立を目的として、ATPの加水分解反応と共役して遊離アミノ酸同士の連結反応を触媒するアミノ酸リガーゼに着目した研究を進めている。特にL-アミノ酸リガーゼを用いた短鎖ペプチド合成研究において、これまで目覚しい成果をあげてきたが、オリゴならびにポリペプチド合成への新たな展開を考え、オリゴペプチドを合成可能な新規L-アミノ酸リガーゼを探索するとともに、他のリガーゼ酵素としてCyanophycin合成酵素に着目し、構造-活性相関に基づくCyanophycin合成酵素からの新規なポリペプチド合成酵素の創製を検討している。
我々は、遊離アミノ酸を原料としてCyanophycinを直接合成できるプライマー非依存的な新規酵素の取得に成功している。本酵素は2つの活性ドメインを有している。そこで、酵素の構造-活性相関に関する情報を取得するためにD-Ala-D-AlaリガーゼやMurリガーゼなどとの一次配列の比較からATPとの結合に関わる活性残基を推定し、Alaに置換した変異酵素をいくつか作製した。これらの中でK261AならびにK497A変異酵素において活性の消失を確認し、活性に関わる残基の一部を特定することに成功した。また、一方で新規L-アミノ酸リガーゼの探索を目的として、微生物の生産するトリペプチド性の二次代謝産物(ファゼオロトキシン、リゾクチシン)に着目し、これらの合成酵素を探索した。その結果、いずれの検討においてもトリペプチド構成要素となるジペプチドの合成活性を有する酵素の取得に成功した。今後、これら近傍の遺伝子領域を解析することでトリペプチド合成を可能とする新規酵素が取得されることが期待されるとともに、Cyanophycin合成酵素との比較によって、構造-活性相関に関する知見を蓄積し、新規ペプチド合成酵素の創製へとつなげていくことを予定している。