表題番号:2008B-160 日付:2009/03/10
研究課題身体的つながり感を創出するゆりかごコミュニケーションシステム
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 准教授 上杉 繁
研究成果概要
ブランコに共に乗り身体の揺れを共有する際に,他者との一体感を我々は日常的に経験している.そこで,離れた相手との一体感の創出を目指し,ロッキングチェアのような座面の揺動による身体の揺れを互いに共有させることを目的とする.そして,使用者が動かす座面の傾きやトルクが互いに一致するように動作するインタラクションシステムの開発を行った.本システムは座面駆動機構と位置・トルク制御システムより構成する.座面駆動機構はDCモータ(定格トルク8.8[N・m]),ロータリーエンコーダ(1000[P/R]),トルクセンサ(±5.0[N・m])から構築した.座面はロッキングチェアと類似した動きをし,さらにはその傾斜角度やトルクの検出・制御を行うために,座面四隅と底面の中心軸上に片側4本の回転軸を設置し,その回転軸を左右2枚ずつの側板両端の軸受にはめ込む機構を考案した.そして,1枚の側板の座面側回転軸に,DCモータとトルクセンサをカップリングで接続することで,座面の自在な傾斜動作を実現した.さらに,座面の回転軸に重力方向の荷重に対するカウンターバランスのためのねじりコイルばね(7.24[N・m/deg])を組み込むことで,モータの出力を抑えることが可能となった.位置・トルク制御システムは,モータコントローラ,モータドライバ,PC上で動作するソフトウェアから構築した.互いのトルク値をTCP/IP通信によってPC間で送り合い,座面の傾斜角度が一致するように算出した目標値に基づき,PWM出力によるPID制御によりモータの回転制御を行う.その結果,座面(奥行600×横700[mm],最大傾斜角度±15°,最大傾斜速度60[deg/s],最大荷重980[N])の上に立つ,座るといった様々な状態で,離れた互いの座面の揺れを共有するシステム開発の見通しを得た.