表題番号:2008B-109 日付:2009/03/16
研究課題神経特異的サイクリン依存性キナーゼ5の生理的機能と神経変性疾患における役割の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 大島 登志男
研究成果概要
目的
神経特異的サイクリン依存性キナーゼ5(Cdk5)は、中枢神経系の形成過程や、機能発現に寄与するセリン・スレオニンキナーゼであり、我々は、Cdk5欠損マウスや活性化サブユニットp35欠損マウスの解析を通じて、研究を行ってきた。、Cdk5欠損マウスは胎生致死であり、p35欠損マウスは脳の形成に軽度の異常がある。我々はこれまでにp35欠損マウスにおける記憶・学習の異常を報告したが、異常が脳組織構築の異常によるものか、機能喪失によるものかは結論を得ていない。胎生致死などの解決するため、近年の技術進歩により、時間・空間的に遺伝子の機能喪失を起こさせるコンディショナルKOマウスの技術が、Cre-loxP系を応用して確立されている。我々は、本研究において、p35遺伝子のコンディショナルマウスを作製する事を目的として、p35遺伝子座に2ヶ所loxPを有するマウス(p35-floxマウス)の作成を行った。
結果
まず、p35遺伝子を含むBACクローンを入手し、ターゲティングコンストラクトを作成し、ES細胞に導入して、相同組換えを起こしたクローンを得た。これをブラストシストへ導入し、キメラマウスを得る事が出来た。このキメラ♂を野生型B6♀マウスと交配して、F1ヘテロマウスを作製する事に成功している。今後は、frtにフランクされたネオマイシン耐性遺伝子を除くために、FLP Tgマウスと交配した後に、ヘテロのp35-loxPマウス同志を交配し、p35-loxPのホモマウスを得たのち、creマウスと交配する事により、コンディショナルKOマウスを得る予定である。
結語
今回の研究により、p35遺伝子座loxPサイトが導入されたマウスを作製する事に成功し、今後のp35コンディショナルKOマウス作成の基盤が確立できた。