表題番号:2008B-107 日付:2011/11/02
研究課題高度光ネットワーク用全光再生及び光機能接合集積デバイスの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 宇高 勝之
研究成果概要
化合物半導体、ポリマー、そしてシリコンの材料を用いて、それぞれハイエンド向けの光パケットスイッチング用高速光スイッチ、ローエンド向けの加入者系/インターコネクション用光スイッチ、そして、汎用光プラットフォーム向けとして機能波長フィルタの検討を行った。共通するキーワードは環境を考慮した低消費電力と高機能動作である。まず化合物半導体では、キャリア閉じ込めに優れていることから低電流動作が期待できるInAlGaAsを用いてマッハツェンダ(MZ)干渉計型により、3.5mAというこれまでにない低電流動作(消費電力として約4mW)を達成した。同時にキャリア注入特有の数ナノ秒という高速な光スイッチング動作を-20dB以下の低クロストークで実現した。このことにより、InAlGaAs MZ光スイッチの有効性を実証した。また化合物半導体光スイッチとして、屈折率変調機構を有するアレー導波路とスリットを導入した多モード干渉導波路カップラを用いることにより、これまでにない短い素子長での機能光スイッチが実現可能であることを提案し、解析によりその基本特性を示した。他方、ポリマーにおいては、熱特性の優れたSU-8をコア、PMGIをクラッド層に用い、やはり光スイッチとして優れた基本特性が期待できるMZ型を用いて、そして導波路としてクラッド層で埋め込んだ矩形のチャンネル導波路構造により完全偏光無依存により6mWの低消費電力動作を実現した。クロストークも-20dB以下であった。そして、シリコンにおいては、SOI基板を用いて、低損失特性に優れた中モード型導波路において、アーム導波路を最適にずらしたマイケルソン干渉計構造に回折格子による反射器、そして導波路や反射器に熱光学効果を用いた屈折率変調領域を導入することにより、波長可変バンド選択インターリーバ波長選択光スイッチを実現した。バンド幅として約4チャンネル分の3nm、チャンネル間隔が100GHzの0.8nmで、波長可変量として6nmで、偶・奇チャンネル間のスイッチング動作を実現し、転送効率の向上した波長多重通信への適用が期待される。