表題番号:2008B-088 日付:2010/02/19
研究課題生体情報のソフトコマンド化とその応用に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 松山 泰男
研究成果概要
この研究は,生体が発する信号をソフトコマンドとして認識し,それを用いて多様な機器を操作するアルゴリズムの開発とその応用を行うことを目的としている.そして,この研究における理論と応用は,ネットワーク化に整合するものとなることを条件としている.得られた成果は次の通りである.
(1)サポートベクトルマシン(SVM)をコミッティーSVMアレイとして構成し,多値識別を可能にした.
(2)並列隠れマルコフモデルとSVMを下部構造として含むベイジアンネットワークとその計算学習法を世界に先駆けて創意かつ実現した.そして,これをHMM/SVM埋め込み型ベイジアンネットワークと命名した.
(3)HMM/SVM埋め込み型ベイジアンネットワークを,歩くPCとしての二足歩行ヒューマノイドの制御に適用した.この問題においては,操作側の人間(オペレータ)とヒューマノイドはネットワークを介して反対側に置かれている.そして,オペレータはジェスチャと脳信号を発してヒューマノイドを制御する.この時,両信号はHMM/SVM埋め込み型ベイジアンネットワークによりソフトコマンドとして認識され,それがヒューマノイドの動作を実現する駆動信号へと変換される.これによりヒューマノイドはオペレータの体格との違いとの独立性を保ったまま,転倒せずに目的動作を行うことができるようになった.
(4)脳信号としては,近赤外分光法により人体に対して非侵襲方式で計測された酸化ヘモグロビン濃度と,サルに対して侵襲方式で計測された神経スパイク列を用いた.そして,これらの信号のパターンを,知覚とは別の動作に変換することを世界に先駆けて実現した.
以上の(2)~(4)にまたがる業績は,領域横断的科学技術としてのソフトコンピューティング国際会議において,最優秀論文賞(Grand Prix)を受賞した.