表題番号:2008B-058 日付:2009/03/26
研究課題大学教員・学生の授業観と授業改善を結びつける授業評価調査のあり方に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教授 三尾 忠男
研究成果概要
 本研究では、授業評価調査の在り方について実証的に検証する部分のみ実施した。
大学授業についての学生アンケートの実施について、学期末実施の総括的な評価調査では得にくいより詳細な情報を得るために、毎回、アンケート等を実施することが望ましい。代表的な方法として、マークシートによる学生アンケートとコメントシート(例えば「大福帳」)がある。代表者が2つの方法を2クラスそれぞれで実施・比較した実践では、コメントシートを使用したクラスの方がマークシート使用のクラスより総合的な満足度が毎回の授業で高くなり、総括的授業アンケートの結果もより良い評価であった。
本研究では、1クラス内で人数を2つのグループに分け、マークシートと「大福帳」の両方を実施した。1グループでは、初回の授業でマークシートと「大福帳」の両方に、2回~6回はマークシートのみ、第7回はマークシートと「大福帳」の両方に、8回~12回は「大福帳」による学生アンケートを実施した。別グループはマークシートと「大福帳」が入れ替えて実施した。その結果、いずれのグループにおいてもマークシートと比べて「大福帳」を用いた回が総合的な満足度が高い結果をなった。
学期末の総括的授業アンケートの自由記述より、「大福帳」という教員と学生個々とのコメント交換の機能が毎回の授業の振り返りに効果的に働いたようである。その結果、マークシートのように回収するだけの授業アンケートでは感想を書き捨てる傾向にあるものが、多少吟味した感想を書き留めるという傾向となり、授業自体への満足度への効果があったと思われる。継続して、分析を進める予定である。