表題番号:2008B-033 日付:2009/03/24
研究課題高度技術社会と文化変動:社会学的身体観に関する総合的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 土屋 淳二
研究成果概要
 先端技術ないし科学技術の高度化と文化変動との相関関係については,これまで社会思想や哲学領域において「機械と身体」論や「ロボットと身体」問題,フェティシズム論などにおいて多角的に議論されてきた.本研究では,これら関連領域の知見も視野に入れながら,ポストモダンという場合の「ポスト」の意味を探求するために先端技術の社会的浸透が及ぼす「人間‐機械」関係と「現実‐仮想」世界のあり方への影響を身体とアイデンティティの問題と密接に関係するファッションやモード現象を切り口に理論的かつ実証的に解明したい.本研究では,申請者がこれまで国際比較研究等をつうじて精緻化してきた分析フレームと作業モデルの適用を試み,身体や社会的自我にみる文化的価値変動が科学技術の高度応用化プロセスや消費行動・態度と相互連関する局面について,仮説的知見の実証において理論的に明らかにすることを目的とした.そこで,本助成年度では,とくに本研究の全過程に関する文献資料等を利用しながら既存の理論モデルの検証と評価を実施し,フィールドワークの企画,調査フレームの設計(調査項目の作成),実施計画の措定をおこなった.具体的な作業としては,先端技術の商品化に関する事例を中心に資料・統計情報等の拡充を図ると同時に,それら資料をデータベース化した.さらに既存の研究資料データベース(学術情報)をも活用しながら理論モデルの妥当性を検証し,本研究に適用可能な理論的フレームと仮説モデルを提示した.さらに,①具体的な調査の企画・設計,②調査対象者の確定と調査協力の依頼(試験調査を実施),③調査フォーマットと質問項目の検討,④フィールドワークに必要な関係機関での調査打合わせ,⑤面接対象者の選定と協力要請,⑥共同研究者ネットワークの拡大等の作業を展開中である.