表題番号:2008B-021
日付:2009/03/23
研究課題アメリカ法における債権譲渡法制の外延に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学学術院 | 准教授 | 青木 則幸 |
- 研究成果概要
- 本研究では、主として、アメリカの担保取引における債権譲渡法制の外延に関する研究を行った。
アメリカの債権譲渡法制については、UCC第9編が有名である。その制度設計や、これが沿革上担保目的の債権譲渡のために導入され、それとの区別の困難から申請売買などの非担保目的の譲渡にも導入されるに至ったといった事実については、既にわが国にも研究の蓄積がある。本研究で分析を試みたのはその外延であり、具体的には、UCC第9編に包摂された取引類型と、包摂されるに至っていない取引類型を比較の上、異同の検討を試みた。
UCC第9編に包摂されている債権譲渡取引としては、伝統的なファクタリング取引や近年の証券化取引に見られるような、直接債権の譲渡をもって資金調達を行う類型と、在庫商品などのように担保目的財産のキャッシュフローを担保化する手法として債権譲渡の方形式を用いる場合がある。一方、UCC第9編外にも、類似の区別は存在する。預金債権の譲渡は1998年改正によってUCC第9編に包摂された類型であるが、依然、銀行法によるところも少なくない。これは前者の例である。また、不動産モーゲージの付加的担保として用いられる賃料譲渡は後者の例である。
興味深いのは、いずれにおいても、両者の側面が並存する事例が存在することである。本研究では、主として、賃料譲渡と賃料預金口座の関係についての分析を行い、判例法上、キャッシュフローの担保化の側面が存在する場合の例外的処遇を検討した。このような相違は、むしろUCC第9編に包摂された類型にも存在する可能性があり、これとの対比は、今後係属して検討を試みる予定である。