表題番号:2008B-001 日付:2009/03/25
研究課題廃棄物等の広域移動と循環利用の地域産業連関分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 近藤 康之
研究成果概要
 廃棄物等の循環利用を推進する観点から,利用可能な統計資料整備を含む知見の蓄積が十分でないと考えられるものに,社会経済システムに存在する物質量の推計(物質ストックの勘定の整備)がある。すなわち,将来に循環利用し得る資源(=廃棄物等)がどこに,どのような形態で,どれくらい存在しているかを把握することは,長期的な循環資源管理として重要である。この点について,産業連関分析の手法を応用した推計方法を開発し,日本のデータに適用した。具体的には,Nakamura et al. (2007, Journal of Industrial Ecology, vol. 11, no. 4)により提案された廃棄物産業連関物質フロー解析(waste input-output material flow analysis, WIO-MFA)の方法と,産業連関表のふた意表である固定資本マトリックスを組み合わせて,産業別投資財別の物質組成を推計した。ただし,土石系は含まず,金属とプラスチックを推計対象とした。その結果,平成12年において,平均で投資額百万円あたり500kg強の物質がストックに追加されていたこと,この投資金額あたり重要は産業間で大きなばらつきがあることなどが見出された。
 さらに,スペクトラルグラフ理論を応用した産業クラスタの抽出,産業連関表の三角化による産業間物質フローの可視化についても検討を行った。2つの方法を組み合わせることにより,Simpson and Tsukui (1965, Review of Economics and Statistics, vol. 47, no. 4)によって指摘されていた,産業間ブロックを考慮した産業連関表の三角化が効率的に実行可能となった。