表題番号:2008A-848 日付:2009/02/24
研究課題低レイノルズ数流れキャンバ翼面上における剥離泡の形成崩壊現象に関する数値的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 専任講師 手塚 亜聖
研究成果概要
超小型飛行機(MAV)は、低コストで機動性の高い観測・監視システムとして、地球や火星における利用が期待される。MAVの空力性能は、速度や機体サイズの違いにより大きく異なる。翼面における剥離泡の形成、崩壊現象の解明は空力性能予測の鍵になること考えられる。筆者はこれまでに、MAC法による流れの非定常計算を行い、実験と比較することで、妥当な結果が得ている(Tezuka, A., Sunada, Y., and Rinoie, K., J. Aircraft, 45 (2008), pp.2164-2167.)。本研究の目的は、新たに、宇宙航空研究開発機構総合技術研究本部で開発されたUPACSを東大情報基盤センターHA8000クラスタシステムへ導入し、これまで行った実験・数値計算結果を比較することで、MAVの設計に適した計算手法を提示し、MAVの翼面上に形成される剥離泡の解明を進めることである。NACA0012翼型に対して、Spalart Allmarasの乱流モデルを使用したRANSの定常計算をレイノルズ数(Re)が6.5×10^4, 1.3×10^5の条件において行った。得られた揚力係数曲線は、低Re数にて迎角0度付近の揚力傾斜が小さくなるという先行研究の結果とは異なるものとなった。また、流れの剥離、再付着点や圧力係数分布なども、先行研究とは一致しなかった。低Re数流れであるMAVの数値計算においては、剥離泡の形成、崩壊現象を模擬する必要があるが、このような現象は、十分発達した乱流状態をモデル化した乱流モデルを用いて模擬することは難しいと考えられる。MAVの数値計算においては、計算コストが高い非定常計算を行うことが必要であると思われる。