表題番号:2008A-117 日付:2009/03/31
研究課題人体構成体・遺伝情報・DNAの保護と利用の法的・倫理的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院法務研究科 教授 甲斐 克則
研究成果概要
人体構成体・遺伝情報・DNAの保護と利用の法的・倫理的側面に焦点を当てた比較法的研究を行い、以下のよ
うな成果を得た。
(1) 2004年にゲノム解析完了宣言が出され、ポストゲノム社会を迎えた今日、遺伝子診断や遺伝子検査は加
速度的に普及しつつあり、予知医学, 親子鑑定, 犯罪捜査の分野におけるDNA鑑定も定着しつつある。他方、
遺伝子特許, ゲノム創薬, 遺伝情報を用いたビジネスをめぐる諸問題も生じつつある。これにどのように対
処するか、という点にスポットを当てて、国際シンポジウム「ポストゲノム時代に向けた比較医事法の展開―
文化葛藤の中のルール作り――」を早稲田大学比較法研究所50周年記念シンポジウムの一環として2008年6月
28日-29日に早稲田大学にて開催し、企画・総合司会・報告を行った。日本の学者6名、オーストラリア、ド
イツ、ニュージーランド、フィリピンの学者による、まさに学際的な比較医事法シンポジウムになった。この
成果は、2009年度に信山社から『ポスト・ゲノム社会と医事法』と題して刊行されるよていである。
(2) 「欧米における遺伝情報の保護と利用をめぐる議論――日本が目指すべき方向――」と題して、2008年6月
20日、国立がんセンターで開催された第14回日本家族性腫瘍学会において、招待講演を行い、好評を得た
(後掲論文参照)。
(3) 2008年9月4日には、クロアチアのリエカ大学で開催された第9回世界生命倫理会議および第5回国際臨床
生命倫理学会において、Legal Protection and Use of Genetic Information and DNA と題する報告を行った。         
(4) 2009年3月12日には、Model of regulation on Medical Innovation/Medical Research from the Perspective
of Comparative Law と題して、台湾の中央科学院(台北市・Academia Sinica)で開催された第5回国際臨床倫理
コンサルテーション学会において研究成果を報告した。3月9日から13日にかけて20ヶ国から参加した専門家との
議論も行った。