表題番号:2008A-101 日付:2009/02/26
研究課題第2次大戦後における Fr?ulein の語義・使用の変化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際教養学術院 教授 岡村 三郎
研究成果概要
第2次大戦後におけるFraeuleinの語義・使用の変化は、ドイツの戦後の歴史を如実に反映しており非常に興味深い。このFraeuleinの語義・使用の変化を跡づけその多様さ、複雑さ、重層性を明らかにするのがこの研究の目的であるが、今回の特定研究期間中に次のような研究成果をあげることが出来た。
a) 2006年の私の研究はSueddeutsche Zeitungのみを一次資料としているが、他の新聞(Frankfurter AllgemeineおよびDie Welt)のアーカイブも使いFraeuleinの現実の使用を跡づけた。この調査によりドイツを代表するこれらの新聞においても、少なくとも90年代より今日に至るまで、Sueddeutsche Zeitungと同じ傾向が見て取れることが確認できた。すなわちこれらの新聞でもFraeuleinが「若い、魅力のある、ダイナミックな女性」というポジティヴな意味で使われており、「未婚の女性」という意味ではほとんど現れていないということが明らかになった。(なおこの知見はドイツ語版wikipediaの Fraeuleinの項目(http://de.wikipedia.org/wiki/Fr%C3%A4ulein)で大きく紹介されている(2009年2月26日現在))。
b) 80年代以前のFraeuleinの語義・使用の変化に関する資料を得るために、とりあえず70年代前半のSueddeutsche Zeitungの紙媒体のアーカイブをミュンヘンの州立図書館において調査した。これまでの調査から、内務大臣通達(1972年)以前にFraeuleinの使用についての議論がドイツのみならずオーストリアも含めて起こっていたことが明らかになっている。その議論の推移をより綿密に調査し、この議論を方向付けた考えは何だったのか、フェミニズムの関与がどの程度あったかを確認することがこれからの研究の一つの課題になる。この点を明らかにしてから論文にまとめたいと考えている。