表題番号:2008A-094 日付:2009/11/10
研究課題ジャンプ・着地動作における足部アーチの動的挙動と足部障害の関連
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 教授 福林 徹
研究成果概要
足部の形態は男女で異なり,女性の足は男性に比べて相対的に足幅が小さく細長いといわれている.また,女性は男性に比べて全身の関節弛緩性が高いことが明らかとなっている.これらのことから動作中の足部の機能的な変形様式も男女で異なると予測され,そのため男女で足部に起こる外傷障害の種類や発生率などに違いが生じていると考えられる.ここから,着地動作中の足部骨の動きの性差について比較検討する必要があると考えた.【方法】若年健常男性11名および女性8名を対象として実験を行った.被験者には高さ10cmからの片脚着地を行わせ,その時の足部骨の動きを矢状面よりX線透視連続撮影し,得られた結果を男女で比較した.【結果】男性の片脚着地時の内側・外側アーチの角度変位は内側3.5±3.3°,外側7.9±3.2°であった.女性の内側および外側アーチの角度変位は内側7.1±2.1°,外側10.1±2.1°であり,内側・外側ともに男性より有意に大きい値を示した.男性における踵骨に対する第一・第五中足骨の並進運動は内側:前方0.62±0.23cm,下方0.62±0.28cm,外側:前方-0.04±0.09cm,下方-0.62±0.28cmであった.女性においては内側:前方0.68±0.23cm,下方0.56±0.24cm,外側:前方0.15±0.12cm,下方0.09±0.11cmであり,男性との差は無かった.【考察】着地時の足部縦アーチの角度変位は男性より女性の方が大きいことが明らかになった.これは,女性において関節の靭帯結合組織の弛緩性が高いためだと考えられ,足部についても動的に大きな可動性を有することが明らかとなった.先行研究で大きな可動域を持つ足部は軟部組織の障害発生率が高いことが報告されていることより,女性において高い足部軟部組織の障害発生のリスクがあることが予測された