表題番号:2008A-088 日付:2012/04/11
研究課題本学とフィンランドの高等教育機関の国際化および運営組織、教育内容に関する比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 西村 昭治
研究成果概要
フィンランドの高等教育機関としてヘルシンキ大学を対象として、その組織、運営、教育内容について調査を行うとともに、ヘルシンキ大学の研究者とともに特に教育手法に関し国際比較研究を行い文化的な差異がその教育手法に大きく影響を及ぼしている可能性を示唆する知見が得られ、ヨーロッパで開催された学会で報告した。

ヘルシンキ大学に関しては2008年はそれまでの教育・研究、組織運営に置ける総括の年であった。その内容は、
Seppo Saari & Minna Frimodig (Eds.) Leadership and Management of Education: Evaluation of Education at University of Helsinki 2007-2008, Helsinki University Print,Helsinki 2009
に576ページに渡って詳細に記載されている。西村は同書を手がかりとしつつ、適時ヘルシンキ大学の教員に対しビデオ会議を通しインタビューを行いより具体的かつ詳細な情報を得ることができた。一言でまとめると、フィンランドは几帳面というほどに1999年にEU29ヶ国の教育大臣によって署名されたのボローニャ宣言

1. 比較可能な学位システムの導入:欧州市民の域内流動・就職可能性を高め、欧州の高等教育システムの国際競争力を高める。ディプロマ・サプリメント(学位の学修内容を示す共通様式)の試験的導入等を進める。
2. 学部と大学院の2段階構造を導入:第二段階(大学院、学位は修士号・博士号)進学条件として最低3年の第一段階(学部)の修了を課す。
3. 単位制の確立:欧州大学間単位互換制度(ECTS)を確立する。
4. 障害を取り除き、人の移動を最も効果的に実現:学生に学習と職業訓練の機会を提供する、教員・研究者・行政官に欧州全体の枠組みの中で研究・教育・職業訓練活動を行う期間を設けることが重要。
5. 質保証のためのヨーロッパ域内協力の推進:比較可能な基準・方法論を開発。
6. 高等教育におけるヨーロッパの特質を促進:カリキュラム開発、機関レベルでの協力、モビリティ向上のための方策、学習、教育訓練、研究プログラムの統合に配慮。

を遵守し、高等教育のヨーロッパ標準システムのお手本となるべく努力を続けて来ている。そして、宣言にある2010の到達目標をすべて満たす高等教育システムを構築するに至っている。

実際2010年1月にはボローニャ宣言に基づいた新体制としてヘルシンキ大学は再スタートを切ることになっている。本学でも今後さらに、積極的に国際化、標準化に取り組む必要がある。