表題番号:2008A-071
日付:2009/03/21
研究課題有機半導体結晶成長の動的観察とその応用
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 | 助手 | 西永 慈郎 |
| (連携研究者) | 理工学術院 | 教授 | 堀越 佳治 |
- 研究成果概要
- 有機半導体薄膜を用いた光電子機能材料が世界的に研究開発されている。フラーレンC60は対称性の高い安定な分子であり、その結晶は一般的な有機半導体と同様に分子間力によって結合している。このフラーレンC60薄膜は格子不整合の大きいGaAs基板上であっても良好なエピタキシャル成長することが知られており、このメカニズムを明らかにするため様々な面方位のGaAs基板を用いてC60薄膜を成長し、RHEED強度振動解析とX線回折によって、C60核形成に対する基板の表面周期構造の影響を調査した。
MBE法を用いてGaAs(111)B基板上にC60薄膜を成長させたところ、成長初期にRHEED強度振動が観察され、その振動周期が一分子層成長時間と一致した。これはC60結晶成長が核形成とステップフロー成長の繰り返しによって起こることを示している。また、成長初期過程に注目すると、(111)B (2x2)構造上において、As三量体によってC60分子の吸着サイトが制限され、最密構造の50%の密度で第一分子層が完成されることがわかった。次にGaAs(113)A、(113)B基板上にC60薄膜を成長させ、X線回折測定を行った。XRD 2theta/omega scanの結果は、両試料共に(111)回折のみが確認され、C60薄膜は [111]配向して成長することがわかる。次に結晶構造の対称性を測定するため、XRD極点測定を行った。(113)A面基板上の結果は、回折ピークが鋭く面内配向性は優れていることがわかる。一方、(113)B面基板上の結果は回折ピークが非常にブロードであり、回転ドメインが大量に発生していることがわかった。これらの結果はA面基板表面に存在するGa原子がC60分子と強く結合するため、C60結晶核の面内配向が一意に決まり、回転ドメインの発生を抑制できたためと考えられる。この結果は有機半導体エピタキシャル成長においても、結晶核の形成過程が重要であることを示している。