表題番号:2008A-055 日付:2009/11/13
研究課題白金(ⅠⅠ)四核クラスター錯体の面内置換誘導体の合成と性質
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 山口 正
研究成果概要
[Pt4(OAc)8]は4個のPt原子が正方形に配列した白金II価クラスター錯体であり、クラスター平面内の酢酸イオンのみが白金-白金間結合のトランス効果により置換活性であり、これまで各種配位子による置換誘導体を合成してきた。本研究ではピリジン環を持つN, N 二座配位子であるアミノピリジン誘導体(アミノピリジン(ap), クロロアミノピリジン(cap), メチルアミノピリジン(map))をクラスター面内配位座に導入し、その構造及び性質について調べた。[Pt4(OAc)8]と過剰量の配位子をジクロロメタン中でNaOHと共に数時間攪拌後、精製し目的の新規錯体を得た。得られた新規錯体は、いずれも平面内の4つの酢酸イオンが全てap, cap, mapに置換されていた。配位子を不足当量にし、NaOHを用いずに合成を行ったところ二置換体が得られた。また,条件を検討することにより一および三置換体も得られたが無,二.四置換体との混合物としてのみ得られた。また、無置換体と二置換体から一置換体が,二置換体と四置換体から三置換体がそれぞれ得られ,いずれもそれらの平衡混合物となり収束した。またcpaの二置換体の構造解析を行ったところ隣接する二つのサイトが置換されたものであった。しかし二置換体には相対する二つのサイトを置換した異性体の存在が考えられる。この異性体は,無置換体と四置換体との配位子均化反応において中間体として若干料存在することが明らかになった。