表題番号:2008A-054 日付:2010/11/04
研究課題新作用機序により抗菌活性を示す、プラテンシマイシン、プラテンシンの不斉全合成研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 中田 雅久
研究成果概要
安息香酸を Birch 還元して得た還元体をエノラートとし、アルキル化を行い、引き続きLiAlH4 による還元、Dess-Martin 酸化、Honer-Wadsworth-Emmons 反応、ニッケル触媒存在下のNaBH4 との反応、メチルフェニルスルホンのジアニオンとの反応によりケトスルホンを高収率で得た。このケトスルホンをトシルアジドと反応させ、α-ジアゾ-β-ケトスルホンとし、その分子内シクロプロパン化反応(IMCP)をキラルなビスオキサゾリンリガンドと CuOTf を用い行ったところ、対応するシクロプロパン体を収率72%、95% eeで得た。生成物のシクロプロパン環をチオフェノールで開環し、得たケトンの還元、脱水によりα、β‐不飽和スルホンへ変換した。ここで一級水酸基の保護基(TBDPS基)を除去し、酸化を行い、ヨウ化サマリウムを用いた還元的環化反応を行ったところ、環化体を95%で得た。引続き、脱スルフィド化、脱スルホン化、二酸化セレンによるアリル位酸化、アリル位アルコールの選択的保護、二級アルコールの酸化、メチレン化、脱保護、酸化により、ニコラウらの合成中間体の合成に成功した。合成品はすべてのスペクトルデータが文献値と一致し、プラテンシンの形式不斉全合成を達成した。この全合成の中間体である前述のα、β‐不飽和スルホンに塩基性条件下、過酸化水素を反応させてエポキシドとし、ヨウ化マグネシウムとの反応によりケトンへ変換し、その後、一級水酸基をアルデヒドとし、アセタールで保護した後、スルフィドを除去した。次にケトンを三枝‐伊藤酸化によりα、β‐不飽和ケトンとした。ここでアセタールの保護基を除去し、アシルラジカル環化の条件下、反応を行ったところ、環化体を65%の収率で得ることに成功し、プラテンシマイシンの炭素骨格構築に成功した。