表題番号:2008A-052 日付:2010/10/18
研究課題契約ネットプロトコルにおける非均質ポリシー制御の影響解析の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 菅原 俊治
研究成果概要
  近年、インターネット、センサーネットワーク、Grid Computingなど多数の計算機がネットワークに接続され、そこで動くソフトウェア(エージェント)が相互に協調・調整・競争することで、質の高いサービスを提供することが提案されている。たとえば、電子商取引では、商品の提示から、契約の受付、在庫管理、顧客管理、配送管理、決済、認証といった異なる役割を持つエージェントが連携しなくてはならない。当然、これらのエージェントは多数存在し、多数の要求を受け付けている。しかし、インターネットのように全体を管理することも、また全体の情報を収集することもできない環境では、それぞれのエージェントが局所的な情報を元に「最適」と判断する戦略で必要なタスクを依頼しなくてはならない。
  このような状況のもと、本研究の目的は、インターネットのサービスのように非常に多数のソフトウェアエージェントが相互に影響しあいながら活動する状況において、各コンピュータの能力を最大限に引き出すためにタスクを適切に配分するプロトコルを提案することにある。特に、本研究提案では、我々がこれまで提案してきた契約ネットプロトコルの制御方式に関して、それ以外の制御方式を採用してタスクを依頼したときの影響を調べることにある。
  本研究期間では、(1) 上記の研究のためのシミュレーション環境を構築すること、(2) 提案したプロトコルと通常の契約ネットプロトコルをそれぞれ採用するエージェントの比率をから、その特徴を解析した。その結果、多くの場合、提案プロトコルを採用したエージェントの方が利得が高い(処理能力が高くなる)が、契約ネットプロトコルを採用しているエージェントが少数の場合には、その少数のエージェントの方が高い利得を得ることが分かった。ただし、全体の処理能力の低下には結びつかないことも分かった。