表題番号:2007B-501 日付:2008/03/24
研究課題新規好中球機能解析法によるストレス・免疫能の評価と健康診断・臨床検査への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 専任講師 鈴木 克彦
(連携研究者) 先端科学・健康医療融合研究機構 客員講師(専任扱い) 奥津光晴
研究成果概要
 メビオール株式会社との共同研究にて開発した白血球の遊走能と活性酸素産生能の測定系について、まず基礎的検討を進めた。好中球の遊走因子であるインターロイキン8については、200pg/ml以上の高濃度では遊走細胞数の増加を認めたものの、高価な試薬であるため臨床検査に用いるには難しいと判断された。一方、単球を遊走させるためにmonocyte chemotactic protein 1(MCP-1)を用いたが、基材との関係で遊走活性や活性酸素生成を検出することはできなかった。また活性酸素産生能を呈色反応として検出するためにnitroblue tetrazolium(NBT)を用いたが、化学発光とくらべ定量性、再現性に問題があり、NBTを臨床検査に用いるのは困難と考えられた。
 次に、従来法を用いて各種物質、薬剤の好中球機能に及ぼす影響を検討した。ビタミンCは活性酸素生成を濃度依存的に抑制したが、遊走細胞数には影響を及ぼさず、本検査法は抗酸化物質の活性評価や酸化ストレスの評価に有用と考えられた。次にストレスホルモンの代表としてエプネフリンの作用を検討したが、濃度・作用時間の影響は認められなかった。一方、ハイドロコルチゾンは濃度依存的に遊走細胞数を減少させ、抗炎症作用・免疫抑制作用の評価に有用と考えられた。このように生理活性物質や薬物の作用解析・薬剤感受性の評価に好中球機能検査法が応用できる可能性を示した。
 健康診断・臨床検査への応用に関しては、国立国際医療センターで臨床検査としての倫理申請が認められたので、今後臨床検体での検討を進め、妥当性の検証を進めることとなった。