表題番号:2007B-296 日付:2009/05/05
研究課題高等学校情報科の課題と教員に求められる力
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 橘 孝博
研究成果概要
高等学校の情報科は2003年度から全国の高等学校でスタートした。スタート以降の社会状況や、教育現場を取り巻く
環境は大きく変化している。また、2008年度以内に改訂が予定されている学習指導要領の内容に関する議論も、現在
さかんに展開されるようになった。
 本研究では、現在の情報科の課題と教員養成について、いくつかの調査し考察を行った。その内容をまとめると、
(1)情報科が全国に導入された2003年当時と比べて、情報科の教科書がアカデミックな内容に変化している。
   つまり、スタート当時はコンピュータの使用方法を説明するような内容の教科書も多かったが、そのようなマニュア
   ル的な内容のものは少なくなり、総合的に情報処理扱うようになった。
(2)高校卒業生は、いまだにコンピュータ使用方法のようなマニュアル的な知識を持てめていることが判明した。
   つまり、大学に入学してどのような情報教育を望むかというアンケートに、マイクロソフト社の各種ソフトウエア
   の使用法を学びたいというような回答が多い。
(3)情報モラルや情報倫理と呼ばれる分野の研究や実践教育が進んでいる。特にモラルを学習する教材が多く出て、研究会
   も盛んにおこなわれている。学校裏サイトの問題なども新しく出てきた。このような情報社会の影の部分に対する教員
   や学校からのアプローチや研究が必要である。
(4)次期学習指導要領では、「社会と情報」および「情報の科学」が中心になり、情報活用は十点ではなくなる。
   これについては、高等学校用の次期学習指導要領が未発表なので、あまり深く調査できなかった。
(5)大学によっては、情報科を入学試験に加えている。2003年当時は受験指導をする必要がなかったが、これからは
   場合によっては受験指導の能力が求められる。
(6)情報科の教員養成に関しても、上記のような新しい状況に対応して、これまでにないアカデミックな情報活用能力が求め
   られていることになる。