表題番号:2007B-293 日付:2008/03/24
研究課題離婚・別居に伴う面会交流支援制度の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院法務研究科 教授 棚村 政行
研究成果概要
最高裁判所が2006年5月に作成した離婚当事者のための面接交渉のガイダンスビデオの編集内容や活用方法につき、引き続き、最高裁家庭局担当者や裁判所調査官と検討をした。その結果、映像や音声という視聴覚に訴えるツールは印象に残り易く、当事者に内省の機会を与えること、子どもの福祉等の体系的な知識を短時間で提供できることなどのメリットがあるものの、家庭裁判所や実務で問題となる紛争性の高い当事者のためのビデオ教材としては、感情的な反発を招いたり、いくつかの問題点があることが明らかになった。
また、東京家庭裁判所のカウンセリング調査官室の濱野調査官・大野調査官などとともに、引き続き、アメリカでのコンフリクト・アセスメント・スケールを参考にしながら、父母の葛藤レベルの測定をし、その葛藤レベルに対応した、①導入場面、②面会交流の試行場面、③具体的な面会交流案の作成の場面での当事者の効果的な支援調整活動のあり方についても検討した。その結果、葛藤レベルの低い当事者には、①の導入やガイダンスでのプログラムが効果的であって、その際には、交流の意義や目的などの情報提供をする啓蒙的教育的働きかけがよいこと、②の試行段階では受容的なカウンセリングと規律やルールの中での実績作りが課題とされ、葛藤レベル、紛争性の高い当事者には、怒りや葛藤を低減したり解消させる親の能力や相手方に対する受容性を向上させる専門家の関与と参加型プログラムが適切であり、集中的に参加させると効果があることが明らかになった。
以上のような研究結果を踏まえて、民間の非営利の監護交流サポート機関の活動内容をさらに調査研究し、家庭問題情報センター(FPIC)、特定非営利活動法人FCLのVi-Projectなどの民間の面会交流支援活動の実情と問題点を明らかにし、官民連携で活用できる日本型の具体的な親子面会交流プログラムと支援モデルを析出することができた。