表題番号:2007B-288 日付:2008/03/24
研究課題履歴データベースを用いた故障流量計の検知・探索システムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 准教授 立野 繁之
研究成果概要
 石油・化学プラントの運転管理、設備管理はプラントに設置されている流量計から得られる測定値を基に行われるので、常に流量計の故障を検出・診断をして測定値の修正を行うことが必要である。しかし、流量計は運転中に取り外して検査・修理を行うことは不可能であり、定期修理時にしか検査・修理できない。そこで、運転中に測定値が偏っている流量計を見つけ出すことができれば、定期修理中にそのような流量計だけを検査してその他の無駄な検査をなくすことが可能であり、また測定値の偏りを測定することができれば、定期修理を行うまでの間、測定値を補正して運転を行うことができる。
 今までの研究で、運転状態が常に変動しているプラントでの運転時における正常状態に時系列データを蓄積した“履歴データベース”を利用して、故障した流量計が1つだけの場合と仮定しての「故障診断法」が提案されている。よって本研究では、故障した流量計が多重存在するときの故障診断法の開発及び多重故障診断システムの設計を目指し、以下の研究成果を得た。

1.多重故障診断法の開発
 検出可能な故障流量計の数を3個以内と仮定し、多重故障(3個以下)が存在しても高精度で故障流量計を発見するシステムの開発。

2.多重故障診断システム設計問題の定式化
 上記の多重故障診断法を使用し、ユーザの要求仕様を満足することができるような多重故障診断システムの設計法の確立。

 この多重故障診断システムの設計法を利用することにより、診断の対象となる流量計の特性やユーザの要望(欠報率及び誤報率に着目する)から最適な設計パラメータ(最適な誤差二乗和のしきい値と履歴データベースと比較する観測データの長さ)を設定できるようになる。