表題番号:2007B-273 日付:2008/03/24
研究課題微生物を利用した廃棄物処理制御の基礎研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 大貝 晴俊
研究成果概要
使用済み紙おむつの微生物による分解について検討し、杉チップ由来微生物群および市販セルラーゼによるセルロースの分解、金属イオンによる高分子吸収剤の分解の研究を行ってきた。本課題研究では、紙おむつ廃棄物処理システムのモデリングと制御について検討した。実験結果による微生物の増殖特性に基づいた、紙おむつ廃棄物処理プロセスモデルを構築した。さらに最適な増殖温度で効率的な紙おむつ廃棄物処理システムを実現するため、選択制御のよる制御系を設計した。すなわち、紙おむつが短時間で分解されるように、微生物増殖の最適温度条件を考慮した上で、「ヒータに加える熱量」を選択制御で決定する制御系である。プロセスの制御変数である「紙おむつ量」および「装置内温度」をPI制御によって調整を行い、補正した値をLSSの選択基準によって評価し、制御変数の中から最も優先的に制御すべき変数を選択し、熱量としてプロセスに入力した。なお、温度を微生物群の増殖至適温度域に維持するために制約条件をつけている。設計した制御系の有効性をシミュレーションによって確認した。
 次に、紙おむつの完全分解の研究のために、生分解性プラスチックについて基本調査をおこなった。生分解性プラスチックには、1)微生物生産系、2)でんぷん系、3)セルロース系、4)乳酸系、5)PBS系(ポリブチレンサクシネート系)がある。その中で、3)のセルロース系として、酢酸セルロース系のセルグリーン(ダイセル化学工業)、2)のでんぷん系のデンプン主原料系のマタービー(日本合成化学工業)が候補となる。
 紙おむつ処理装置の設計のために、紙おむつの破砕機について、チェーン回転式のものと試作検討した。ある程度、裁断後に細かく破砕できることがわかった。