表題番号:2007B-272 日付:2008/03/24
研究課題大規模熱プロセスのモデルベース・データベース統合非線形制御の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 大貝 晴俊
(連携研究者) 大学院情報生産システム研究科 助手 小川雅俊
(連携研究者) 大学院情報生産システム研究科 准教授 立野繁之
(連携研究者) 理工学術院 教授 内田健康
研究成果概要
 本研究では,廃棄物処理プロセスの操業支援を行うためにLOMを廃棄物処理プロセスに適用し,プロセス値を実用上十分な精度で予測するために,廃棄物処理プロセスのためのLOMシステムを構築し,さらにLOMによるガイダンス方法(制御手法)を提案した.
LOMによるプロセス値の予測精度向上を図るために,廃棄物処理プロセスデータのノイズ除去方法を検討し,データの平滑化処理をシステムに具備し,予測に適切なサンプリング間隔を検討した.
さらに,操業支援を図るために,LOMの技術を用いたガイダンス方法を提案した.この方法は,まず現在の操業データと将来の制御変数の目標値が類似した過去事例データをデータベースから検索し,検索された過去事例データ群から現在の操作量と比較して操業上問題のない操作範囲である操作量を制御入力と決定し,オペレータ等に提示することによって操業支援を行うことを提案した.
 また、LOM によってプロセスの予測をしようとした場合、LOM はプロセスの将来の操作変数による影響を考慮しておらず、一般的な操作が施されたときのプロセス値の予測が行われる。そのため、将来の操作量の影響が大きく反映されるほどの長期的な将来予測は一般的に困難である。長期的な将来予測を実用上十分な予測精度で予測するには、将来の操作変数の影響を考慮した予測手法を実現することが課題となる。
そこで,本研究では、LOM ではまだ報告されていない,最初に一度だけ必要な現在のプロセスの情報をすべてLOMに与え,1 ステップ先の予測をLOMで行い,その後は得られた予測値と設定した操作量だけを利用して1 ステップ先の予測処理を繰り返すことによって,プロセスの操作変数の影響を考慮し、プロセスの数時間後の長期の将来予測を行う逐次予測システムを構築する。本システムは、事前に将来の数時間先の操業パターンが設定されている場合に、操業パターンの影響を反映したプロセス挙動を予測し、評価できる。また、適用対象プロセスの一例として、入力される熱量変動が大きく炉内物理現象が複雑な工業炉プロセスを取り上げ,システムの有効性を検証した.