表題番号:2007B-270 日付:2008/03/19
研究課題空間充填曲線による画像情報のモデル化と画像圧縮・検索への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 鎌田 清一郎
研究成果概要
生活・安全などにおいて、画像の圧縮伝送・蓄積に関する研究開発が社会的なニーズとともに益々重要となっている。例えば、遠隔監視では、セキュリティ対象画像を24時間圧縮伝送し、記憶装置に大量の圧縮データを蓄積させている。しかし、これに関わる研究開発者は国際標準化方式である MPEG (例えばMPEG4 AVCなど)などを利用しているが、(a)離散コサイン変換(DCT)、動き補償などを利用した低域周波数通過型の圧縮方式であるために画質がぼける、(b)検索したい人物画像をMPEG圧縮による蓄積データの中から高速に検索できない、(c)圧縮データフォーマットが公開されているための情報漏洩、などの問題が指摘されている。本研究では、これらの問題を解決すべく、MPEGとは異なる、空間充填曲線を用いた画像圧縮方式を検討し、高速検索の実現も含めて、画像圧縮技術の高画質化、高解像度化、高速検索が可能なものを実現することを目的とする。本研究によって、具体的に次のことが明らかになった。
(1)画像上の各部分領域を任意形状とし、空間充填曲線を用いて圧縮に適した画像情報のモデル化を行った。これは、空間充填曲線を複数組み合わせることによって、輪郭情報保存性のみならず一般人の主観的画質評価に優れた新たな圧縮手法を開発した。本手法は、独自圧縮方式であるため、圧縮データフォーマットを公開しなければ(c)の情報漏洩の問題は一部解決できるが、セキュリティ面でより頑健なものにするために走査法に着目した暗号化についても検討した。
(2)蓄積した膨大な圧縮データからの特徴抽出および画像照合を行い、人物などの類似画像を高速に検索する画像検索手法を開発した。色情報等に基づくヒストグラムによる検索によって、数十倍の高速化が可能となった。なお、MPEGでは圧縮データが周波数領域での表現になっており、DCTなどの逆変換を行う必要があり、高速検索が困難である。