表題番号:2007B-267 日付:2008/03/23
研究課題家庭内情報システムにおける空間情報の活用に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院国際情報通信研究科 教授 中里 秀則
研究成果概要
位置情報を考慮した設定不要の通信機能に関する検討として、おのおのの情報家電機器がもつ意味的な情報(例えば、電灯、窓の近くにある、など)を宛先としてパケットを転送するための経路制御方式について検討を行った。

一般にパケット転送を行う各ルータは、それぞれが保持するルーティングテーブルを元にパケットの転送を行う。このルーティングテーブルのエントリにブルームフィルタを用いた。ここで検討している家庭内情報システムにおける通信形態は、各情報家電機器が、受け取ったパケットをさらに隣接の機器に転送することによって、エンド・ツー・エンドの通信が可能になるアドホック通信を仮定しているため、各機器がルータの役割を果たすことになる。

具体的なルーティングテーブルの設定は、以下のようになる。それぞれの機器は、隣接の機器から受け取ったブルームフィルタを当該機器へ転送する条件のエントリとしてルーティングテーブルに保存する。ルーティングテーブルに保存したすべてのブルームフィルタとその機器自身の意味情報から生成したブルームフィルタのビットORを取った値の内、ランダムな1ビットを0に設定したものを、一定の周期で隣接の機器に転送する。ただし、このとき転送先の機器から受け取ったブルームフィルタはビットORを取るブルームフィルタに含めない。

パケットには宛先情報として、宛先に該当する意味情報のブルームフィルタをパケットに記入する。上記のようにルーティングテーブルが設定されている状態で、パケットを受け取った各機器は、パケットのブルームフィルタとルーティングテーブルのブルームフィルタを比較し、一定の基準で一致する機器にパケットを転送する。

以上のアルゴリズムによってパケット転送を行うと、70%程度の精度でパケットの転送が行われることが確認できた。