表題番号:2007B-261 日付:2008/03/28
研究課題地域産業活性化に果たす自動車部品産業の機能と役割-地域間比較を中心に-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院アジア太平洋研究科 教授 小林 英夫
研究成果概要
 本調査では、日本の自動車部品メーカーの中国事業展開、具体的には国外・内の各拠点間の役割・分業、中国におけるユーザーの研究開発動向と部品メーカーの対応状況、現地生産・調達システムと日本との相違、2次サプライヤーの開拓・指導育成状況及び同企業の実態等の把握を実施した。調査期間・調査対象としては夏期(9月9日~12日)、秋期(11月21~24日)の2回にかけて日系自動車メーカー、日系Tier1メーカーの中国拠点5ヶ所(上海市3、無錫市、広州市)及びTier2の7社(広州市3社、常州市1社、上海市1社、恵州市2社)である。
 調査結果としては、部品生産拠点として中国は、アジアのなかで国内向けの役割を果たしていること、また開発拠点としては将来的には中国独自ブランド車を立ち上げる役割を果たす機能を視野に入れつつも現時点では日本の開発・設計、また部品調達・承認する役割を担っていること、現地調達システムとしては、これまで既存の先行した台湾でつながりのあった台湾系企業に依存してきたが、現在では内製に以降しつつあり、またその内製の設備稼働率を上げるためにTier1自身もTier2としてのプレイヤーも演じている。これらをみると中国拠点は生産、開発、調達において多様な機能を果たしていることが明らかになった。
 また筆者は来年度、中国自動車産業におけるローカルTier2の経営実態把握調査を計画しており、そのための布石として、夏期調査(9月13~18日)において南開大学・劉教授、白教授とともに中国汽車技術研究所、ローカル自動車メーカー等への訪問調査もあわせて実施したことを付記しておく。