表題番号:2007B-251 日付:2008/03/23
研究課題地域振興のためのプロスポーツ球団の経営モデルに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 客員教授(専任扱い) 平田 竹男
研究成果概要

本研究は、地域活性化のためのモデルケースとして、地域密着型のプロスポーツクラブにおける経営モデルを構築しようとするものである。本年度は、地域密着型の経営を志向するJリーグにおける成功事例としてアルビレックス新潟と浦和レッドダイヤモンズ(以下、浦和レッズ)を題材として、その成功要因について検証を行なった。
研究手法としては、まず、クラブ創設前から今日までのプロセスを成書および新聞・雑誌記事、諸論文の中から探索を行い、両クラブの史実を取りまとめると共に、クラブ関係者へのインタビュー調査、及び経営データなどの内部資料の分析によって、アルビレックス新潟と浦和レッズが成功に至るまでのプロセスを検証した。また、アルビレックス新潟については、アルビレックス独自の無料券配布手法に注目し、その成功の要因についての検証も行なった。
その結果として、「シーズンチケット枚数」、「地域自立経営」、「人件費支出のバランス」、「地域経済環境を想定した収入・観客数増加戦略の設定」、「経営責任、成長戦略を担う人物の存在」、「国際イベントの積極的誘致」、という7つの要素がアルビレックス新潟と浦和レッズに共通する成功要因として抽出された。以上のことから、地域に密着した経営を志向するプロスポーツクラブが成功を収めるためにも、アルビレックス新潟と浦和レッズに共通した要因である7つの条件が必要となると考えられるであろう。
本年度の研究では、研究対象をJリーグクラブとしたが、地域プロスポーツクラブ経営の成功要因を探り、地域に向けて提言していくためには、日本国内での狭い視点での議論だけでは正確な判断を下すことができないであろう。そのため、欧米におけるプロスポーツクラブの事例を検証し国内のプロスポーツクラブのビジネスモデルと比較検証を行うなど、客観的な視点での検証が、今後期待される。