表題番号:2007B-245 日付:2010/04/30
研究課題総合型地域スポーツクラブのボランティア・マネジメントに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 准教授 作野 誠一
研究成果概要
 あらゆるスポーツ組織において、人材は成果を左右する重要な要因として認識されている。とりわけ、総合型地域スポーツクラブに代表される地域スポーツの領域やスポーツイベントなどにおいては、人的資源としてのボランティアに対する期待がますます高まっている。こうしたスポーツ組織においては、多くのボランティアを集め(調達)、職務満足を保ちながら能力を高め(開発)、活動を継続してもらう(維持)ための効果的なマネジメントを行わなくてはならない。そのためには、まずボランティアはどのような理由で活動するのかという動機の理解が欠かせない。
 先行研究によれば、動機の構成要素は、先にみた欲求の要素や動機の内容から導かれることがわかる。また動機の構成要素を知ることは、意欲や貢献を引き起こす源泉となるインセンティブ(誘因・報酬)を考えるうえでも非常に重要である。ボランティアを受け入れる組織においては、①ボランティア活動の業務内容(活動内容が挑戦的であるとか、自分にあったものであるとか、生活スタイルにあったものであるといったこと)、②集団性(ボランティア・グループのつくるコミュニティの魅力)、③エンパワメント(活動を通じて元気をもらうこと、社会的に役立っていることへの実感)という3種類の満足感を得られる活動を整えることが活動継続を促すとされるが、このことから、モチベーションは、インセンティブのあり方のみならず、ジョブデザインや評価の問題などとも深く関わっていることがわかる。これらの指摘をふまえ、実際の総合型地域スポーツクラブにおけるスタッフを対象として調査を行ったところ、金銭的なもの以外でも報酬に対する意識がきわめて低く、まさに「奉仕活動」の域を出ないクラブが多数存在することが明らかになった。