表題番号:2007B-240 日付:2009/03/25
研究課題スポーツ選手全般に提供するための「走り」のコーチング
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 教授 礒 繁雄
研究成果概要
 今回の研究は,「走り」のモデルとトレーニング方法を女子バスケットボールに対象にトレーニング効果を注目した.分析方法は,バイオメカニクス的手法によりトレーニング前後の動作の変化を解析した.また,「走り」のモデルとそのトレーニング導入は,短距離走に関する先行研究と実践結果の中で,身体の上下動の少なく効率の良い走法を基本に,週3回×3週の計9回のトレーニング内容を実施した。1回のトレーニングには,走りとそれに関係する筋群の補強的内容を組み込んでいる.さらに,毎週1回のトレーニング実践報告に対する質問や説明を勉強会として行なっている.

 主な結果は次の通りである.
・今回対象とした女子バスケットボール選手の速度の向上要因は、ピッチ(回転数)の上昇が挙げられる。動作としては、支持期の上体の前傾が少なくなっていることがわかる。このことは、従来の前傾の走りが、結果的に脚の回転数を上昇しにくいことが負の要因なのだろう。さらに、推測ではあるが、前傾の走りでは支持期前半の減速成分(体幹を維持する)の際の脚への大きなストレスを発生させるのではないだろうか。そのため、走トレー二ングによる脚のケガ(シンスプリント等)を誘発する可能性が高まり、練習内容に組み込みにくくなることが予測できる。
・今回の短距離走トレーニング導入では、ピッチ上昇による走速度の向上とケガ回避の技術取得につながるものであろう。