表題番号:2007B-236
日付:2012/11/05
研究課題介護予防マネジメントにおける地域高齢者ネットワークの活用とその展開モデルの開発
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | スポーツ科学学術院 | 教授 | 中村 好男 |
- 研究成果概要
- 2006年に改正された介護保険制度の中で、介護予防は「どのような状態にある者であっても、生活機能の維持・向上を積極的に図り、要支援・要介護状態の予防及びその重症化の予防、軽減により高齢者本人の自己実現の達成を支援すること」と定義している。あらゆる高齢者が介護予防プログラムを受ける資格を有しているが、自治体では、虚弱高齢者を対象とした特定高齢者施策に傾倒しており、全高齢者を対象とする介護予防一般高齢者施策の取組みは進んでいない。地域における介護予防を促進するためには、ただ単に専門家の手によるプログラム提供だけではなく様々なレベルでの活動が必要となる。例えば、「介護予防」というメッセージ(知識)の普及や、生活の中での実践へのソーシャルサポートも、地域レベルでの介護予防に貢献する。そこで本研究では、介護予防の概念を地域住民へ周知し、実践者を増やすためのプロモーションの方法について試行検証した。
都内S区T地区在住高齢者を主たる対象として、「介護予防担い手研修会」の参加者を募集し、5月から2月まで、毎月一回(計10回)の研修会を実施した。参加者を対象として質問紙調査を実施し、プログラム評価を行った。8月以降の研修会参加者39名の回答を分析した結果、「参加」をもたらすチャネルとしては、「知人からの紹介」が圧倒的に多く、回覧板あるいは掲示チラシを見て自発的に参加した者の割合は極めて低いということがわかった。プログラム内容の評価に関しては、講義・ディスカッション・宿題などの情報教育プログラムへの関心が26~39%に留まっていた一方で、軽体操やストレッチングなどの実技プログラムに関しては、参加者の関心度が55~75%と高値を示した。このことは、身体を実際に動かす実技指導の体験価値が高いことを意味している。
これらの結果から、自ら介護予防活動にコミットする担い手を養成するには、情報提供型の研修カリキュラムよりも、むしろ参加者自身が楽しんで、体感できるプログラム構成で実施することで研修への関心度や活動意欲を高めることの重要性を示唆された。