表題番号:2007B-226 日付:2008/04/01
研究課題体温の運動パフォーマンスに与える影響の解析ー温熱的快不快感を尺度としてー
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 准教授 永島 計
(連携研究者) 人間科学学術院 助手 時澤 健
研究成果概要
[目的]運動に伴う脱水は、発汗•皮膚血管拡張などの自律性体温調節反応の抑制を引き起こし、体温調節能の低下とともに、熱中症などにつながる。自律性体温調節とともに人では衣服の着脱、エアコンのオン•オフなどの行動性体温調節があり、自律性体温調節に対して相補的に働くと言われている。しかしながら、脱水時に行動性体温調節がいかに変化するかは未知のままである。今回の研究では、脱水時の行動性体温調節がいかに変化するのかを、人の行動性体温調節の動機である温度感覚•温熱的快不快感を指標に調べた。[方法]健康成人男子(22-28 y.o.)を対象にした。実験は2つの試行を1週間以上の間隔をおいて行った。1つめの試行は24°Cの環境下に~10%HRmaxの運動を、2つめの試行は35°Cの環境下に40%HRmaxの運動を各々40分間行った。その後27°Cから22°Cの環境まで、次に27°Cから38°Cの環境まで変化させこの間、深部体温、表面皮膚温、発汗率、皮膚血流、温度感覚、温熱的快不快感を測定し、運動前後•実験終了後の血液を採取した。[結果] 35°Cの環境下での運動では約1%体重の脱水が生じ、その後38°Cの環境で発汗、皮膚血流量の抑制が、24°Cの環境下での運動後の値に比較して見られ、深部体温も上昇した。しかしながら、温度感覚/温熱的快不快感については両者に差は見られなかった。[結論]暑熱下運動による軽度の脱水後にも、暑熱環境に暴露させると発汗、皮膚血流などの自律性体温調節反応が低下し、深部体温の上昇が見られた。しかしながら、温度感覚/温熱的快不快感には差が認められず、人においては自律性体温調節に対して行動性体温調節の動機となると予想される温度感覚/温熱的快不快感が相補的に亢進する証拠は認められなかった。