表題番号:2007B-222 日付:2008/04/09
研究課題看護における人に対する技術習得過程の同定とその改善プログラムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 浅田 匡
研究成果概要
本研究は、看護における人に対する技術獲得過程をメンタリングのプロセスから明らかにすることを目的とした。わが国ではメンタリングは企業内教育で数多く行なわれているが、看護のような専門家養成に関してはほとんど研究が行われていない。本研究では、プリセプターシップを看護におけるメンタリングとして捉え、プリセプターへの研修プログラムの分析を行なった。そこでは、技術そのもの獲得よりも看護して行なわれた技術を患者と看護の両視点から捉え直すという思考様式の獲得に力点が行われていることが明らかになった。また、同時に熟達看護師(いわゆるスーパーナース)が研修を担当する場合、熟達看護師と経験の少ない看護師との関係性、特にコミュニケーションのあり方が思考様式を含む技術獲得に重要な役割を果たすことが示唆された。
それらの示唆を含めて、新任教師あるいは教育実習生へのメンタリングにおいて重要とされるメンターからメンティへの期待とメンティからメンターへの期待に関するチェック項目から、プリセプターシップにおけるプリセプターとプリセプティとの関係性を調べる質問項目の開発を行なった。さらに、メンターに求められる9つのコンピテンシー(有能さ)に関する調査項目を、教師教育用項目を参照にしながら作成した。
 これらに加えて、看護師の技術獲得において重要な意味を持つエピソードの記述方法の開発を行なった。いわゆるナラティブ・アプローチの変型と考えられるが、看護師とその人間関係の中で自己把握を行う絵画図法である。
 以上、質問項目及びエピソードを捉える方法の開発が本年度の成果概要であり、看護師を対象とした調査を行い看護師としての思考様式に影響を与えたエピソードとメンタリングとの関係を明らかにする予定である。