表題番号:2007B-220 日付:2008/03/24
研究課題食発達と養育者-子ども関係についての総合的検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 根ケ山 光一
(連携研究者) 共立女子大学家政学部 専任講師 河原 紀子
(連携研究者) 津田塾大学学芸学部 准教授 外山 紀子
研究成果概要
 (1)これまで2次にわたって行われてきた哺乳・離乳の全国調査に続く第3次調査を行うために,哺乳・離乳の実態と食行動発達,離乳食や通常の食事の内容とそれを支える親の価値観や育児態度,などについて38項目の質問紙を作成した。全都道府県の市部と郡部それぞれから,中央値付近の人口をもつ4自治体を4カ所選び,保健センターで行われる3歳児健診の場で母親に,原則一度だけの配布をお願いし,回答を郵送で回収した。最終的に5499通の質問紙を配り,現時点で655通の回答を得ており(現在も回収継続中),これまでに330通の入力を済ませた。
 それによれば,母乳はほぼ全員に近い母親が与えており,その平均終了月齢は11.05か月であった。それは5年前の第2次調査に比べてほぼ1か月の後傾である。人工栄養の終了時期にはそのような後傾は認められず,この5年間における母乳に対する許容度の高まりが確認された。そのことは,母乳に対してそれが自然で,子どもの成長・健康に良いからという理由の高まりにも現れていた。一方で母乳完了の理由として「母乳の出」を挙げる母親が減少し,代わって子の母乳離れや月齢を挙げる母親が増加していた。これらは厚生労働省が母乳期間の長期化を容認する離乳指導の方針を強めてきたことの効果であろうと考察された。
 (2)乳幼児の母親が,子育ての情報をどこに求め,その情報をどのように利用しているかを検討するために,小平市健康センターの1歳半健診を訪れた母親に質問紙調査を実施した(64枚回収,回収率27.9%)。その結果,離乳の進め方のみならず,子どもの叱り方,子育て中のいらいら解消まで,母親の多くがインターネットを介して情報を集めていること,祖父母からの情報は信頼のおけるものとは考
えられていないことが示された。また子どもが1歳になった直後から3ヶ月に1度,母子の食事場面の縦断的観察を行った。観察時に,子ども観,子育て観,子どもの食に関する悩みとその解決方法についてインタビューを行った。