表題番号:2007B-218 日付:2008/03/14
研究課題色彩と香りの調和性の検討と感性データベースの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 斎藤 美穂
研究成果概要
色彩と香りの感情次元(Affective dimension)を介した調和性に着目し、2つの実験を行なった。実験Aは、香りの感情次元の抽出及び香りに対する調和色の検討、実験Bは、色彩の感情次元の抽出及び色彩に対する調和香の検討を、各々目的とした。
香りは、シナモン、ペパーミント、バニラ、ローズマリー、レモン、アニス、ペッパー、ローズの8種を用いた。色彩は、赤/黄/緑/青/紫の5色相×ペール/ビビッド/ダークの3トーンによる有彩色、白/中灰/黒の無彩色の、計18色を使用した。
実験Aでは、100名(19.4歳)の対象者に対し、各香りの印象評定(SD法)を課すと共に、18色のカラーチャートから、各香りに対する調和・不調和色を各3色まで選択させた。実験Bでは、100名(21.8歳)の対象者に対し、18色の各カードの印象評定(SD法)、各色に対する各香りの調和度評定(4件法)に対する回答を求めた。
感情次元に関して、印象評定結果に対する因子分析による検討を行なった。その結果、香り・色彩各々の感情次元としても、色彩と香りを同一次元で捉える感情次元としても、主に<MILD><CLEAR>の2軸を得た。
色彩と香りの調和性に関して、まず2つの実験結果から、8種の香りと18色との調和関係を定義した。次に、<MILD><CLEAR>の2軸における色彩と香りの調和性を、重回帰分析によって検討した。香りに対する調和色の検討(香りの因子得点を独立変数;香りに対する調和色・不調和色の選択率を従属変数)、及び、色彩に対する調和香の検討(色彩の因子得点を独立変数;色彩に対する香りの調和度評定値を従属変数)を各々行なった。これらの結果を、8種の香りと18色との調和の定義と照らし合わせると、いずれかの軸(あるいは両軸共)と正の相関の認められた色彩と香り同士は調和関係、正の相関が認められた色彩や香りと、負の相関が認められた色彩や香りとは不調和関係にあった。
よって<MILD><CLEAR>の感情次元上で、距離の近い色彩と香りは調和関係、距離の乖離した色彩と香りは不調和関係になるという傾向を導いた。