表題番号:2007B-211
日付:2009/04/15
研究課題戦後日本における家族社会学の成立と展開
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 | 教授 | 池岡 義孝 |
- 研究成果概要
- 本研究は、戦後日本における家族社会学の成立と展開を、終戦直後の1940年代の後半から60年代および70年代の前半にかけてのおよそ20余年の時間幅のなかで検討するものであり、それを主要文献の検討と、関係者へのインタビューの両面から実施した。
主要文献の検討は、定期的に研究会を開催して報告とディスカッションを行い、それを録音したものをテープ起こしして活字化し、資料とした。また、関係者へのインタビューについては、湯沢雍彦先生(お茶の水女子大学名誉教授)のお話を詳しくお聞きして、貴重なインタビューデータを作成することができた。湯沢先生は、1955年の小山隆による「家族問題研究会」の設立に東京家庭裁判所の調査官の立場から参加協力し、以降長年にわたって同研究会の事務局を担当した方で、この家族問題研究会が戦後の家族社会学の成立をも支えた最も重要な組織であるため、戦後家族社会学の成立期の生き証人ともいえる方である。もともと家庭裁判所の調査官のお仕事をされていた方であり、学問的背景も社会学だけでなく法学にもまたがっており、現実的・実際的な家族問題への対処を重視されていたので、その後の家族社会学の理論重視の志向性に対して批判的で一定の距離をお持ちであることが、つよく印象づけられた。
また、もうお一方、戦後家族社会学の主流とは一線を画するマルクス主義的な傾向をもつ家族社会学研究の代表者として、札幌学院大学学長の布施晶子先生へのインタビューも予定し、9月に日本家族社会学の大会が同大学で開催されたのに合わせて研究会を当地で行った。しかし、布施先生が多忙であったため、予定していた詳しいインタビューは実施できず、これについては今後の課題として残された。