表題番号:2007B-197 日付:2009/11/16
研究課題高エネルギー電子加速源探索のための飛翔体搭載用解像型カロリメータの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 鳥居 祥二
(連携研究者) 理工学術院 客員教授(専任扱い) 笠原 克昌
(連携研究者) 理工学術院 客員講師(専任扱い) 清水 雄輝
研究成果概要
本研究では、宇宙線発見以来の謎である高エネルギー宇宙線の加速源を探索するために、気球を用いた成層圏での宇宙線観測を実施することを目的として、宇宙線シャワーをイメージングできるカロリメータの開発を行っている。宇宙線中に含まれる電子成分は、高エネルギー領域では電磁相互作用によるエネルギー損失をうけるため、エネルギーが高くなるほど寿命が短くなり加速源も地球近傍に限られる。このため、電子観測により他の成分の観測では不可能な、加速源の直接検出が可能になる。しかし、このためには大型装置による気球観測を実施して、TeV領域に迫る観測を実施することが不可欠になる。
 我々が開発している装置では、宇宙線が引き起こすシャワー現象を1mm以内の位置分解能でイメージングし、その形状の違いにより粒子識別を実施するとともに、エネルギーを測定するという利点を有している。本研究課題では、従来の小型プロトタイプ製作の経験をもとに、さらに大型装置の製作を目的として、特に気球搭載に不可欠な省電力かつ高速な回路システムと装置自動較正システムの開発を実施した。この結果、世界的にみても最高レベルの性能を有する装置の開発に成功しており、2009年中までに観測を実施する予定で、装置の完成を目指している。