表題番号:2007B-172
日付:2008/02/21
研究課題捕捉中性原子気体の不安定性の量子場の理論による解析
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 助手 | 峰 真如 |
- 研究成果概要
- 中性原子Bose-Einstein凝縮(以下BECと略記)において,特に凝縮体が高次の量子渦を持っている場合や光学格子ポテンシャル中を流れている場合,また多成分BEC系などでは,凝縮体まわりのゆらぎを記述するBogoliubov-de Gennes方程式に複素固有値が現れるパラメータ領域があることが知られている.この複素固有値は単純には励起モードの波動関数が時間に関して指数関数的に変化することを示しているため,複素固有値が出現することは系の不安定性の兆候であると考えられている.
これまでに上記のような複素固有値が出現する場合についての場の理論的解析を展開しているが,本研究課題ではそれを発展させた.その内容は大きく分けて以下の2点である.
1.光学格子中を流れるBECに関する場の理論的解析
これまで行ってきた光学格子中を流れるBEC系の不安定性の解析を発展させた.強結合近似および第1ハンドに限る近似を用いた場の理論的計算と,従来のGross-Pitaevskii方程式による古典論の解析と詳細に比較した.具体的には,外場による系の微小擾乱に対する密度線形応答を評価した.
2.複素固有値が現れる条件の解析的表式の導出
上記のような複素固有値が,どのようなパラメータ領域で現れるかを調べることは,非常に基本的で興味のあることである.本研究課題ではこの問題に対して,特に高次量子渦の系を考えて解析的なアプローチを試みた.そのために原子間の相互作用が非常に弱い極限を考え,さらにモードを2つに限って解析をした.その結果,複素モードが現れるための条件を解析的に導くことに成功した.この結果は,先行研究の数値的な結果と矛盾しない.