表題番号:2007B-158 日付:2008/03/11
研究課題電場により表面電荷を制御した担持金属とペロブスカイト酸化物格子酸素との協奏と反応
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 准教授 関根 泰
研究成果概要
電場印加反応場中での触媒反応としてC-C結合、C-H結合、C-O結合、O-H結合を有するエタノールの分解を検討した。静電場を印加しない触媒反応(Mode A)と、反応場に静電場を印加した触媒反応(Mode B)の2種を比較し、静電場が触媒反応におよぼす影響ついて比較した。反応メカニズムに関する知見を得るために様々な実験を行った結果、放電と触媒のハイブリッド反応ではまず原料分子は放電場により活性ラジカル種に分解され、その後ラジカルルが触媒と反応することによりシナジー効果が発現しているという可能性を見出した。触媒として5 wt %Pt/CeO2を用い、電流値3.0 mAで温度を423~673 Kと変化させて反応を行った。静電場印加反応場中での触媒反応(Mode B)では静電場を印加しない触媒反応(Mode A)に比べ全ての温度域で転化率が向上し、高温になるほど活性向上の度合いが大きくなっていることが確認された。選択率に関してはMode B はMode Aとはわずかに異なるがほぼ似た傾向を示している。ここで触媒層に電流が流れることによる加熱の影響を検討するため、サーモグラフィーにより反応場の温度測定を試みた。石英管が赤外線を透過しないので反応場の温度を直接測定することが困難であるため、石英管表面の温度と触媒層温度との相関を求め、静電場の影響を検討したところ、反応場の温度上昇は5~10 K程度であった。これよりMode Bでは触媒に電流を流すことにより、加熱の影響だけでなく静電場と反応場の相互作用により活性が向上したと考えられる。