表題番号:2007B-156 日付:2008/04/15
研究課題相同DNA組換え装置の分子機構解明のための構造・生化学的アプローチ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 准教授 胡桃坂 仁志
研究成果概要
相同DNA組換えは減数分裂の第一分裂期におこる(遺伝的組換え)。その結果として遺伝情報の再編成が行われ、現代の300万種を超えるとも言われている生物種を生み出す原動力となった。またゲノムDNAは、環境からの外的要因(紫外線や放射線など)や細胞自身による内的要因(DNA複製のエラーなど)によって日常的に損傷を受けている。なかでも、二重鎖切断などの重篤なDNA損傷は、相同DNA組換えを経由したDNA修復経路によって速やかに修復されることが明らかにされてきた。このように相同DNA組換えは、ゲノムDNAの進化と保護の両面において重要であるが、その分子機構についてはいまだ十分に理解されていない。本研究では、ヒト由来の相同DNA組換え装置およびゲノムDNAを収容する染色体に着目し、これらの生体超分子複合体がの構成成分をリコンビナント蛋白質として精製した。具体的には、Rad51やDmc1などの相同DNA組換え装置の活性中心酵素、染色体の主要構成蛋白質であるヒストンH2A、H2B、H3、H4などである。これらの蛋白質が、生体内でどのような超分子複合体を形成しているのかを解析するために、これらの蛋白質を共有結合によってリンクしたビーズの作製を行った。そして、それらの蛋白質が結合したビーズを用いて、ヒト培養細胞から得た抽出液より、それぞれの蛋白質と特異的に結合する因子群を、プロテオミクス解析により同定することに成功した。本プロテオミクス解析および蛋白質分析は、北海道大学の小布施研究室と、大阪大学の木村准教授研究室において行った。得られた新規相同DNA組換え酵素群および新規染色体構成蛋白質群の遺伝子のクローニングを現在行っており、これらの蛋白質をリコンビナントとして精製し、それらの機能および構造解析を行う予定である。また、Rad51およびDmc1の解析においては、それらの天然に存在するバリアントの精製に成功した。そしてそれらの活性の異同について生化学的解析によって明らかにした。