表題番号:2007B-155 日付:2009/04/14
研究課題汎用熱システム解析手法による湿式除湿機の動特性の究明と最適設計・制御手法の確立
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 准教授 齋藤 潔
研究成果概要
 近年,次世代の除湿装置としてリキッドデシカントシステムが注目されている.リキッドデシカントシステムは,低温排熱による駆動が可能なこと,結露を伴わず衛生的であること,吸収液による空気の除菌や消臭が可能なことなどの特徴がある.
 これまでに,実機による性能評価試験や,シミュレーションにより,リキッドデシカントシステムの有用性を示してきた.しかし,本システムの設計・制御手法などについては,いまだ確立されていないのが現状である.特に,システムの主要要素である吸収・再生器充填層における熱・物質移動特性は,不明な点が多く,その設計指針が得られているとは言えない.
 そこで,この吸収・再生器用充填層の要素試験を行い,その圧力損失や熱・物質移動特性について明らかにする.具体的には,乾燥時の圧力損失を実験とCFDによるシミュレーションの双方から評価する.さらに,熱・物質移動特性として,空気面速や溶液質量流束などが熱・物質通過率に与える影響について調査する.
 その結果,今回対象とする充填層の乾燥時の圧力損失を測定したところ,レイノルズ数が200付近で層流から乱流に遷移することが分かった.また,このときのレイノルズ数と損失係数の関係を整理式としてまとめることができた.
 また,溶液質量流束および空気面速度が充填層出口の空気お温度・湿度に与える影響を実験的に明らかにできた.また,溶液質量流束が小さい領域で,空気が吸収熱により加熱されて排出されうることを確認した.さらに,物質通過率・熱通過率で整理したところ,溶液質量流束の増加に対しては物質通過率・熱通過率ともに上昇していくが,空気面風速の影響については明確な依存関係は見いだせなかった.