表題番号:2007B-148 日付:2008/03/25
研究課題新規の嫌気性酸化処理法によるC・N同時除去
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 榊原 豊
研究成果概要
 好気性微生物を用いた生物処理法は都市下水等の排水処理に広く用いられているが、酸素を絶えず供給するためエネルギー消費量が大きく、また微生物増殖に伴って大量に発生する余剰汚泥の処理処分の問題が深刻化している。このような問題を解決するために、本研究では従来とは異なる新しい生物処理法の可能性について基礎的検討を行った。すなわち、生物代謝反応の電子受容体である酸素の代わりに、処理槽内に浸漬した電極により浄化過程で生ずる電子を回収することによって、酸素供給が不要で栄養塩類が除去でき、さらにエネルギー回収も可能な浄化法の可能性について検討した。
 実験は負極槽および正極槽を陽イオン交換膜で仕切り、負極槽に有機物((C)及びアンモニア(N)を半回分方式で供給しながら、処理水質、窒素発生量、電流等を測定した。なお、実験装置は負極槽内に微生物を接種した処理系と微生物が存在しない無生物系の2系列を用いた。その結果、負極槽内に微生物を接種することにより、電流が検出され、電子回収が可能であることが確認された。また、アンモニア性窒素の消費及び窒素ガスの発生が確認された。一方、正極槽では溶存酸素(DO)が消費され、その消費速度は電子回収量(電流値)と概ね一致した。しかしながら、現段階では浄化速度が小さく、浄化過程の量論関係を解析するには至らなかった。今後は微生物の集積を進めると共に、電極面積を増加させた実験系を用いて検討を行う予定である。