表題番号:2007B-143 日付:2008/03/24
研究課題自然と共存する屋外知能機械とそのネットワーク化に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 橋本 周司
(連携研究者) 理工学術院 助教 松本光春
(連携研究者) 理工学術院 助手 酒井幸仁
(連携研究者) 理工学術院 客員研究助手 中村真吾
研究成果概要
本研究の目的は、農地、自然公園あるいは山林などといった大規模環境下において、移動するロボットを導入した動的なフィールドネットワークにより環境情報を収集すると共に、自律作業を実現する知能情報機械系の基盤技術を確立することにある。この目的を実現するためには、様々な要素技術を開発し統合する必要がある。そこで、本年度では以下の3つの要素技術の研究に注力した。
(i)フィールドネットワークによるロボット制御技術
受動型のRFIDタグ及び、アドホックな無線センサを環境に埋め込みことで環境ネットワークを構成し、ロボットの移動制御を行った。RFIDで環境を構成した場合では、無電源・無線の特徴により多様な環境に埋める込めることができるため、屋外等の環境に容易に適用できる。移動無線センサではセンサ同士が通信し、ロボットへ位置の提示・移動方法を提示する。これにより、環境内で安定したロボットの移動が行えた。
(ii)学習能力を有するロボットの制御技術
ロボットの環境への柔軟な対応を実現する為に、実機とシミュレータの双方を同時に利用した機械学習手法の開発と、ロボットの自律的な故障診断技術の確立を行った。前者では、ニューラルネットワークを用いて実機の情報からシミュレータを作成し機械学習を行った。これにより物理モデルを立てずにシミュレータを構築し、機械学習における学習コストを軽減することができた。故障診断では、強化学習における内部パラメータを利用することにより、不要なセンサを必要とせずに、故障診断及び故障箇所の特定が行えた。
(iii)汎用なコミュニケーション・インタフェース技術
 ロボット同士、及び、人との柔軟なコミュニケーションを実現するために、ロボットのインタフェース技術の開発を行った。ロボットへの命令送信を、可視光を用いたインタフェースに統一することで、単純かつ明確な制御が行える。また、“意味”を媒介とするセンサデバイスの開発も行った。様々なセンサの出力を“意味”に統一することで、頑健なセンシング技術を容易に実現することができた。
今後はこれらの要素技術を統合したプラットフォームを作成し、屋外大規模環境での実験を行う予定である。