表題番号:2007B-142 日付:2008/03/24
研究課題壁面移動ロボットによる大規模構造物の安全性診断
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 橋本 周司
(連携研究者) 理工学術院 助手 山口友之
研究成果概要
 本研究課題は,「人間が検査困難である高所なコンクリート壁面,及び,足場設置が不可能なコンクリート壁面」に対する壁面の安全性を自動的に検査する技術を確立することである.そのために,(1)人間が検査困難である高所な場所や,検査のための足場設置が不可能な危険箇所に対して,アクセス・移動が可能な壁面移動ロボットの開発,(2)壁面移動ロボットの移動を安全に実現するための壁面移動支援ロボットの開発,(3)壁面移動ロボットが取得したコンクリート壁面像から,汚れ,染みや型枠などの模様が浮き出ている場合でも,計測対象である「ひび割れ」のみを高精度に検出・計測可能な画像検査技術の確立,の3つを具体的な研究目標として掲げた.
 まず,近年の壁面移動ロボットは磁力吸着や真空吸着等の機構を用いたロボットが開発されており,独創的な機構を開発することが注目されている.一方,本研究では,実応用を考慮し,エネルギー効率を重視した壁面移動ロボットを開発した.開発したロボットは吸引型の機構を持ち,車体に接触センサを取り付けることによって壁面との吸着力を計測する.吸着力が十分な場合は吸引を弱くし,落下の可能性がある際に吸引力を強くする.この制御により,常に最大出力で吸引する必要のない効率的な制御を実現した.
 次に,壁面移動ロボットのさらなる安定した移動を実現するため,壁面移動ロボットを支える伸縮アーム型壁面移動支援ロボットを試作した.このロボットは壁面移動ロボットの壁面移動に追従し,移動を妨げることなく常に下から安全に支えることが可能である.
 最後に,画像検査技術として,ひび割れ検出・計測を高精度に行える手法を提案した.パーコレーションモデルによるひび割れの画像検査手法として独自の理論を構築し,実用で必要な0.2mmのひび割れを検出・計測することが可能である.
 また,これらの研究成果は国内会議で4件発表し,今後は論文誌,国際会議等で報告を行う予定である.