表題番号:2007B-136
日付:2009/11/12
研究課題αージアゾーβーケト化合物の触媒的不斉分子内シクロプロパン化反応の研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 教授 | 中田 雅久 |
- 研究成果概要
- 今回、これまでに報告例の無い、2-diazo-5-(1-methylcyclohexa-2,5-dienyl)-3-oxo-pentanoic acid ester (1) の触媒的不斉分子内シクロプロパン化反応を検討した。(1)は安息香酸の Birch 還元より数工程で合成に成功し、(1)のエチルエステル(2)、t-ブチルエステル(3)、d-メンチルエステル(4)を合成した。(2)-(4)の触媒的不斉分子内反応は、連結部位にジメチル基、オキサゾリン上にイソプロピル基を有するビスオキサゾリンリガンド(5)と連結部位にジベンジル基、オキサゾリン上にイソプロピル基を有するビスオキサゾリンリガンド(6)をCuOTfに配位させた不斉触媒を用いて検討した。その結果、(2)はリガンド(5)を用いた場合は収率66%、60%ee、リガンド(6)を用いた場合は収率34%、69%eeで所望の tricyclo[4.4.0.05,7]dec-2-ene 誘導体を与えた。(3)はリガンド(5)を用いた場合は収率78%、95%ee、リガンド(6)を用いた場合は収率64%、98%eeで生成物を与えた。(4)はリガンド(5)を用いた場合は収率67%、60%ee、リガンド(6)を用いた場合は収率65%、50%ee、リガンド(ent-5)を用いた場合は収率74%、-89%ee、リガンド(6)を用いた場合は収率34%、-85%eeで生成物を与え、これらの結果は重複不斉誘導により説明された。以上の結果から(3)を用いた場合に最も良い結果が得られることが分かった。得られた tricyclo[4.4.0.05,7]dec-2-ene 誘導体の絶対配置はX線結晶構造解析により決定した。その結果、このエナンチオ選択性はα-ジアゾ-β-ケトスルホンの触媒的不斉分子内シクロプロパン化反応をうまく説明したモデルにより説明できることが分かった。本研究により創製したキラルビルディングブロックはシスデヒドロデカリン骨格に容易に変換可能であり、多くの生物活性多環式天然物の合成に活用できると期待される。