表題番号:2007B-135 日付:2008/03/24
研究課題イミグレーション時代到来に備えた地域情報の採集・伝達・共有手法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 後藤 春彦
研究成果概要
本研究では、イミグレーション時代における持続可能なコミュニティ形成をめざし、地域情報の採集・伝達・共有のための計画技術開発に向けた基礎的研究として、移住者プロセスに応じた(1)情報入手のあり方と、(2)自治体の情報発信の現状を明らかにした。
(1)移住者プロセスに応じた情報入手のあり方
 移住する3つの過程でそれぞれ入手した情報の割合を調査した。1移住先を選んでいるとき、「地域の位置、地形」「景色・風景」の『地域の概要』、「職種と求人状況」の『雇用環境』「土地や空き家の物件情報」の『住まい環境』といった分野が多い。2移住先が決定してからでは「食料・雑貨の入手方法」などの『生活基盤情報』が多い。3実際に住んでみてからでは「食料・雑貨の入手方法」の『生活基盤環境』、「近所付き合い」の『集落生活の様子』、『まちづくり』、『生活文化』、『余暇の過ごし方』が多いことが明らかになった。
 さらに、以下の3点を明らかにした。
・ 移住プロセスに応じた情報入手のタイプとして、
  1標準型、2特定情報型、3前期集中型、4後期集中型
 の4タイプが存在する
  ・4タイプと年齢・移住する理由には関係性がある
  ・4タイプと調べた情報の内容・時期には関係性がある
(2)自治体の情報発信の現状
 過疎地域の自治体では、移住者増加をねらい、自治体内の空き家の情報を提示したいわゆる「空き家バンク」が増加傾向にあるが、サイトに登録する空き家の情報を収集することは容易ではなく、情報量と情報更新のあり方が今後の課題である。
 比較的外国籍の住民割合が高い地域では、マルチリンガル化したサイトを設置している自治体もあり、当該外国人にとって利便性がある。しかし、求められるのは、外国人のためだけではない。自治体が発信する情報は、生活の基盤となるツールのひとつであり、地域コミュニティの繋がりをより密にするためのツールでもある。全ての人にわかりやすい「情報のユニバーサルデザイン化」が今後の課題である。