表題番号:2007B-131 日付:2010/04/10
研究課題高次構造を有する複合ナノ粒子の多段チャネルフロー型マイクロリアクタによる一括合成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 本間 敬之
研究成果概要
ナノ粒子はバルクでは発現困難な新規な機能を有する材料として,種々の分野への応用が検討されている.特に,触媒,磁性体,ドラッグデリバリーなどの分野で,より高い機能の発現が期待されている.ナノ粒子の合成には,現在,組成や物性を広範に調整可能である点から,液相中における化学的合成手法が広く検討され,逆ミセルを形成させて反応領域を規制する手法などが用いられている.しかしながら,このような方法では析出プロセスの積極的制御は難しいため,所望のナノ粒子を得るには多くの試行錯誤的な検討を重ねなければならず,これらを精密かつ自在に制御可能な手法が強く求められている.本研究では,電気化学反応系をベースにしたマイクロリアクタ-を用い,液液界面および微小気泡表面の気液界面を反応場に利用した金属の無電解析出反応により,微小反応場を利用した,新たなナノ粒子の合成手法の開発を目的とした. まず,チャネルフロー型のマイクロリアクタに金属イオン溶液と還元剤溶液の安定な液液界面を形成し,これをナノ粒子合成の反応場に利用し,さらにその多段接続により,コアシェル型などの高次構造型ナノ粒子の一括合成を目指して検討を行った結果,Cu,Ptなどの系において高次構造を有するナノ粒子を合成可能であることを確認すると同時に,チャネル長や流速といった因子の制御により,精密な合成制御が可能であることを明らかとした.さらに,電気化学微細加工プロセスにより形成したナノノズルアレイを用い,金属イオン種を含む溶液中に還元性気体(CO等)のナノバブルを吐出することにより,気液界面における還元析出反応による金属ナノ粒子の形成を実現した.これらのプロセスは,金属ナノ粒子の無電解析出反応のみならず,表面被覆による高次構造形成など多様な系に適用可能なものであることから,種々のナノ粒子合成への広範な応用展開が期待される.