表題番号:2007B-125 日付:2008/02/21
研究課題ダイヤモンド電解質溶液トランジスタによるDNAセンサの集積化および高速計測
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 川原田 洋
研究成果概要
課題:ダイヤモンド電解質溶液トランジスタによるDNAセンサの集積化および高速計測

液体電解質溶液中で動作するダイヤモンド・トランジスタ(ダイヤモンド電解質溶液FET:SGFET)の微細化やチャネル表面の修飾最適化による感度向上、高速化、ならびに検出物質の微量化により、電荷検出型DNAマイクロアレーの開発、一塩基遺伝子変異(一塩基多型、SNPs)検出を行う。ダイヤモンド表面上に直接修飾された化学反応基は空気中や液体中に安定で、その表面上に固定されたDNAはダイヤモンド表面との強く共有結合し、数十回ハイブリダイゼーションとディネーチャーを繰り返しても離れず安定である。一方、ダイヤモンド表面の吸着構造は一般的な有機化合物の部位であり、その安定性は高い。ダイヤモンド上の吸着原子・分子の変化(特に水素、酸素、フッ素、アミノ基)は、表面の電気伝導性、表面電荷、親水・疎水性に非常に大きな影響を与える
ミクロサイズSGFETのチャネル(検出部)をミクロアレーし、その二つのチャネル部分に様々部分的な化学修飾処理した後、complementary DNAや一塩基遺伝子変異(SNPs)を共有結合による固定し、DNAのハイブリダイゼーションとSNPsでのハイブリダイゼーション効率による電位変化に成功した。この場合、固定された生体分子は一種の埋め込みゲートとして機能し、DNAハイブリダイゼーションより僅かな電位の変化を大きなドレイン電流変化とゲート電位変化として増幅できる。さらに、同じデバイス特性からハイブリダイゼーション効率によるcomplementary DNAとSNPsの電位差からSNPs判断が明らかになった。また、トランジスタのゲート長の微細化による相互コンダクタンス(性能)向上によりDNAやSNPsの高感度検出に成功し、ダイヤモンド上にマイクロアレー技術の適用により高速計測が可能になった。今後はDNAより構造的安定性を持つRNAやLNAを適用してcomplementary DNAとSNPsの検出を行い、最適化したダイヤモンドSNPsセンサの製作を行う。