表題番号:2007B-107 日付:2012/10/29
研究課題公共施設マネジメントシステム構築に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 小松 幸夫
研究成果概要
前年度に複数の自治体に対して、「公共施設に関するアンケート調査」を行った。これは公共施設の管理に関する一般的な内容についてのものであったが、施設管理の実態を十分に調査することはできなかった。施設管理の費用対効果等を判断するためには、劣化状況及び利用状況を何らかの方法で把握する必要があると判断し、本年度はまず劣化調査の方法論について研究の対象とすることとした。劣化に関しては専門家に依頼することが多いが、作業のための時間と費用の点で困難を伴うため、施設担当者による現状点検調査の有効性を検討することとした。具体的には施設点検チェックシートを作成し、施設担当者自ら1次診断を行って詳細な2次診断の必要性を判断できることを想定した。また複数の自治体間でベンチマークを設定することを想定し、公共施設の実際の機能構成や空間名称と実際の用途の関連を把握することも調査の範囲に含めた。
調査方法は以下のとおりである。
○目視による施設の現状点検調査(点検チェックシートの作成、写真撮影)
○施設の内部構成を確認できる図面等の取得
○施設管理担当者へのインタビュー調査
点検チェックシートは施設毎に18箇所の点検部位について61のチェック項目を設定した。目視調査の結果にしたがい、不具合程度によって1点(軽度)から3点(重度)までの点数を付与し、点数の合計(不具合点数)と「3点」の項目数(チェック数)を総合的に考慮して、2次診断の必要性あるいは修繕の優先順位を判断することとした。
実際に複数の施設について現状点検調査を行い、築年数20年以下の施設はチェック数が少なく不具合点数も低いという結果を得た。また不具合点数が最も高い施設は優先的に2次診断もしくは修繕の判断を検討することになろうが、同時に築年数と修繕履歴を考慮する必要がある。さらに不具合点数が11以上でチェック数が0でない施設は、築年数と以前の修繕履歴を確認する必要があろうという結論に達した。